J.&W.グリム(野村ひろし訳)「完訳 グリム童話集1」 筑摩書房(文庫/ちくま文庫)

グリム童話」第七版の翻訳版です。とある人の言葉を借りれば「見事なまでに似非ドイツ風味が満点」らしいグリム兄弟を主人公にした映画の公開にあわせた訳でもないでしょうが、良いタイミングというかなんというか。
この本にはKHM通りの順番で収録されており、「かえるの王様」や「ラプンツェル」等馴染み深い話が納められたこの第一巻は本当に気楽に楽しく読めました。この巻の最後に収録されている「いさましいちびの仕立て屋」というのは子供の頃には「ひとうちななひき(一打ち七匹)」という題名で絵本を持っていて結構好きな話だったのですが、オリジナルは随分違っていて、このような「記憶との差」を愉しむのもまた良いものです。グリム童話といえば岩波の金田鬼一訳の版も持ってはいますが、童話は何度読んでも面白いものです。それだからこそ長く受け継がれているのでしょうが。このシリーズは毎月刊行のようですからしばらく楽しめそうです。一通り読んでみたら、この筑摩版と岩波版を比べて遊ぼうかと思います。