陳舜臣「小説十八史略 傑作短篇集」 講談社(文庫/講談社文庫)

作者の陳舜臣氏は「十八史略」を小説風にした「小説十八史略」を出していますが、それとは別に中国の歴史上のエピソードに取材した作品を多数発表しています。この作品は後者群の中で代表的なものを集め、その冒頭に「小説十八史略」の一説を絡めて、「外伝」的なものとしてまとめたものです。他の作品集に収録されて既に読んでいるものもあり、初読のものもあり、いろいろと楽しめました。枯れた(いい意味で)文体で何度も読める含蓄のあるエピソードですから。中でも初唐の騒乱の中のエピソードを伝奇的にものした「背負って走れ」と金の崩壊とその文化を巡る人々の攻防「落日孤雲」が面白かったです。