雪乃紗衣「彩雲国物語 はじまりの風は紅く」 角川書店(文庫/角川ビーンズ文庫)

中世の中国にも似た架空の「彩雲国」の名門貴族の直系ながら、貧窮な生活を送る紅秀麗のところに舞い込んだのは「バカ殿」と言われる王の妃として後宮に上がることだった…というファンタジー小説です。先日TVアニメ版を観たら普通に面白かったので原作を読んでみました。
「中国のような」という雰囲気はそこはかとなく伝わりますが、あまりそういう事は気にせずに東洋っぽいファンタジー世界でがんばる女の子の話、と思えば普通に面白い作品でした。「十人並みの器量」ながらも名門中の名門の血筋で前向きで頭の良い、という有る意味古典的少女漫画の主人公のようなキャラクターが美形の登場人物たちの中で活躍する、というあたりも少女漫画的。とはいっても悪い印象はなく、読みやすくて普通に楽しめました。突飛な所はなく、少女漫画的な定石を踏まえた話ですから安定感もあります。一巻で完結してますが、続きもあるようなので機会があればまた読んで見たいとも思います。
どうでもでいいですが結局「両刀」ってのはなあ…若い女性方にはそういうのが理想というか「そういうのもあり」という感じなのでしょうか?