藤崎竜「封神演義」 集英社(B6/SHUEISHA JUMP REMIX)

1996年から四年半程かけて「週刊少年ジャンプ」に連載された作品ですが、コンビニ売りのリミックス版が出たので通して読み直しました。全10冊。
それ自体が「超訳」であると有名な安能務氏の翻訳を「原作」としていますが、それを更に「超訳」して、宇宙生命体やRPG風のガジェットを組み込んだ良質なファンタジーとして成功していると思います。また、努力や友情等の「少年漫画」に必要な要素も織り込みつつ、少年漫画としては異色の主人公を始め、個性的な面々をすっきりした絵柄で描く事で幅広いファン層を確保し、円満終了が難しいと言われる「週刊少年ジャンプ」で円満終了を成し遂げた珍しい作品でもあります。
改めて読み直してみると、作者の画力・構成力の向上が見て取れますし、多少強引な所はありますが、ガジェットを上手く組み合わせて最後まで勢いと面白みを減ずる事無く進んでいる事が分かります。連載開始は今から12年も前の作品ですが、絵柄はストーリーは今読んでも十分面白く、現行の連載作品と比べても遜色はないと思います。分量も長すぎないくらいで通して読むには悪くないです。リミックス版は恐らく最初の単行本の再録だと思いますが、「完全版」とやらがどのように変わっているのか気になるようになりました。全部揃えるには少々高いので二の足を踏んでおりますが、機会があれば読み比べてみたいと思います。