007シリーズ

少し前にTVで吹き替え版をやっていたので観た。 21世紀に入って新録したもののようだが、昔の記憶があるので吹き替えに違和感があるのは否めない。特に、「女王陛下の007」のG.レーゼンビーは広川太一郎から小杉十郎太になっていて、慣れるまでに時間が掛かった。あと、そもそも若山弦蔵広川太一郎の声が明らかに年取ってるのが悲しい…

007は二度死ぬ(You Only Live Twice)」 映画(1967/英・米)

シリーズ第4作。段々と世界観が広がっているというか荒唐無稽に突っ走り始めたあたりなのだが、舞台が日本なので日本人としては興味深い。公安部の実働部隊が忍者とかかなり無茶な設定もあるけれど、相撲や神前結婚式の場面等日本的(に見える)ものを地味に取り入れているのは面白い。特に相撲は所謂「花相撲」かもしれないが、今の相撲より見応えがあるのだな、これが。それはそれとして、西洋人から見たら「不思議の国」である日本で007が活躍するという「お祭り」的なアクションとしては面白かった。

女王陛下の007(On Her Majesty's Secret Service)」  映画(1969/英・米)

G.レーゼンビーが二代目ボンドを演じた唯一の作品。 MやQ、マニーペニーはそのままなので却って違和感があるけれど、それ以前にこれまでのシリーズと異なり、ある程度リアリティを追求した雰囲気に戸惑った。 I.フレミングの原作に近い雰囲気を出そうとしているので、こちらの方が「正道」な筈だが映画から入った人としては「異端」に見える不思議。平たく言えば、S.コネリー時代のものより「地味」でアクションの工夫もいまひとつな上、オチに夢も希望もないので一般受けはしづらかったとは思うが、作品としては悪くないと思う。今の時代なら寧ろこの型の方が受けたかもしれない。

「007 ダイヤモンドは永遠に」(Diamonds Are Forever) 映画(1971年 英・米)

ボンドがS.コネリーに戻った第6作。何事もなかったように荒唐無稽のスパイものに戻った。ブロフェルドとの対決色が強くなり、シリーズものらしさも出てきているように思う。ブロフェルドが「二度死ぬ」のヘンダーソン氏なので続けてみていると戸惑うが、その最期がアレでは報われまい。というかもう少しスタッフも考えてあげればいいのに、と思った。

「007 黄金銃を持つ男(The Man With The Golden Gun)」 映画(1974年 英・米)

ロジャー・ムーアが007となって二作目。ボンドがキザったらしいイギリス人となっているが、S.コネリーとは全く違うボンド像になっているのでこれはこれで悪くない。そういう意味でG.レーゼンビーは不幸だったと言えるのかもしれない。それはそれとして、今回の敵はクリストファー・リー演ずるスカラマンガで、その背景や黄金銃より、「中の人」が原作者イアン・フレミングの従兄弟という方に興味が行くのは私だけだろうか。実際問題としてボンドとスカラマンガの対決はいいとしてもオチがいまいち。ボンド・ガールもどんどん頭が軽くなってきている。

「007 ムーンレイカー(Moonraker)」 映画(1979年 英・米)

時代の流れかとうとう「スペースオペラ」となってしまったボンド=ムーアの4作目。原作とは大幅にストーリーが違っているのはさておき、かなり大味な作品ではあるが、スペースシャトル強奪から世界各地をまたにかけた冒険、そして宇宙での対決と地球規模の話になっているのでいっそ痛快である。前作にあたる「私を愛したスパイ」の敵であったジョーズがこの作品にも出ており、今回に敵になる訳だがフランケンシュタインの怪物ばりに眼鏡で三つ編みの女性と仲良くなる流れに笑った。その女性だがクリアな画質で見ると結構年齢いってるのな。それはそれとしてキャラクター強いと得なのかもしれない>ジョーズ。ともすれば陳腐になりがちな宇宙ステーションでの「無重力での戦闘」が割と「それらしく見える」のも含めて、冒険譚として割と好きな作品である。