E.ハミルトン「キャプテン・フューチャー全集1 恐怖の宇宙帝王/暗黒星大接近!」 東京創元社(文庫/創元SF文庫/ISBN4-488-63711-6)

E.R.バローズの「火星シリーズ」、そしてE.E.スミスの「レンズマン」に続く東京創元社からの新装版シリーズ第三弾は前二者と異なり早川書房から出たものを合本化したというかなり異色の流れのように感じますが、ともかく新装版。
CFは図書館などにある子供向けにリライトされたSFものを除いたもの、言い換えると早川や創元から出ているものを私が買ったはじめての作品ででして、スペースオペラの原体験と言えるものなので、再販されるのは素直にうれしく思います。
内容は早川文庫版と同じようですが、鶴田謙二のカバー絵がかなり印象的です、とりあえず縛られているジョーン・ランドールはいかにも鶴田絵っぽいのですが、キャプテン・フューチャーやオットー、それに<生きている脳>はまあオーソドックスな感じですが、グラッグだけは最初わからず<宇宙帝王>かと思いましたよ…よく観ると隅っこにいましたけどね>宇宙帝王。翻訳者の野田大元帥は自著の中で「SFは絵だ」とも言っておられますが、残念なのはカバー絵と各エピソードの最初の扉絵だけというのが少し寂しい。一作品あたり数枚は挿絵が欲しかったところ。あと、早川文庫版では中途半端にしか収録されなかった「INSIDE CAPTAIN FUTURE」が全て収録されるというのもいい。早川文庫版は一応全部もっていますが合本版も全て集めよう、といういい動機になります。
新たに書かれたあとがきを読んでみるとまあいろいろあったんだなあ、と思わせるような話あり、 SFあるいはスペースオペラも素直に「夢」を追っかけるだけじゃないんだあ、と思ったりもしますが、ともあれ気楽に素直に楽しめる作品なので続きの楽しみに待ちたいと思います。