【感想メモ】 貴子潤一郎「12月のベロニカ」 富士見書房(文庫/富士見ファンタジア文庫/ISBN4-8291-1486-X)

昨年ネットで話題に上がっていたので読んでみようと思いつつのびのびになっていた本です。神(神々?)が明確に存在する中世風の世界を舞台にしたファンタジー。惜しむらくは題名ともなっている女神の巫女である<ベロニカ>の描写が質量共に不足しており、主人公とのつながりも「幼馴染」という「お約束」を使っているだけでそちらもやや不足しているので、どうしても「感動」が減じてしまいます。しかし、非常に独創的、とまでいいませんが変化球的な「構造」をもっており、話自体も悪くありません。まだ粗さはありますが、新人さんの作品としては水準以上でしょう。なかなか面白かったと思います。