【感想メモ】 ロジャー・ゼラズニイ「光の王」(Roger Zelazny "LOAD OF LIGHT") 早川書房(文庫/ハヤカワ文庫SF/ISBN4-15-011512-5 )

土曜時点で読み終えてましたが書き忘れてたので。
遥か未来、地球を離れた人類の植民星を支配する「第一世代」。自らをインド神話の神々になぞらえた彼らは科学技術や知識を独占することで人々を支配していた。肉体を交換=転生を繰り返すことで相対的不死性を得た「神々」の一人が天上都市へ反乱を起こす。「仏教」を反乱の手段として用いたマハーサマートマン、シッダルタ、如来、または単にサムと呼ばれるその男を中心に、様々な神々や半神、人間たちが死闘を繰り広げる…
初読は高校生の頃ですが、長らく品切れ・絶版となっておりましたが、このたび新装版として復刊されました。神々はそれぞれ「属性」をもち、特殊能力をもって激しい戦いをします。あまりにも進んだ科学は魔法にも似て、肉体を交換しても受け継がれるその「力」を駆使する神々が闊歩する世界は SFというよりファンタジーに近いような気もします。神話を題材に採るのが得意なゼラズニイの真骨頂と言って良いと思います。やや厚めの本で、細かいエピソードを積み重ねて最後に大きな話となる構成ですから、少し回りくどいように感じるところもありますが、設定を上手く生かしたアクションも派手なら登場人物たちの台詞も恰好いいので一気に読めます。映画の原作が枯渇しているといわれるハリウッドですが、「指輪物語」が映像化できる現在、これなどはいい「素材」だと思うのですが…。