【感想めも】和月伸宏「武装錬金」8巻

敢え無く打ち切りくらって今夏発売の雑誌でとりあえず「まとめ」だけはさせてもらえることとなった作品だと思うと、何か物悲しい。ヴィクター化したカズキとキャプテン・ブラボーとの戦いを始め、逃亡者となった主人公達とかつて仲間だったはずの面々との戦いがメインで、本来物凄く盛り上がるか、悲壮感漂うべきところがどうもそうでもないです。殊にブラボーの生存はあの展開ではいささか興を削ぐといわざるを得ません。寧ろ決着直前に誰かの介入があって…という方がマシだったと思います。「るろ剣」の人誅編での薫の処遇あたりが嚆矢とするところでしょうが、キャラクターを大切にするあまり、結果としてその「命」の描写が軽くなるという問題がまだクリアされていないようです。「信念」を声高に叫ぶには切るべきところは切る覚悟がなければ…。そうはいってもこのあたりは匙加減が難しいわけですが、スペックが低いとは思えない作者だけにいかにも惜しい。