2006年に市川崑監督自身によりセルフリメイクされた版です。
公開当時に劇場に足を運ぼうかと思って色々あって行く事も出来ず、いつしかDVDが出たのに買いそびれ、ついつい観損ねておりましたが、ついに観る事が出来ました。
基本の筋や見所は原作や1976年のオリジナルでとても有名ですが、このリメイク版はそれを忠実に録り直したという感じです。音楽といいカット割といい、既視感を覚える程忠実です。安心して観ていられますが、驚きは特にないのは残念。 76年版を知らない初見の人なら楽しめるのでしょうか。
役者も昨今の邦画では驚くほど豪華です。富司純子と尾上菊之助の現実世界でも役柄の上でも親子と言うのが思ったほど話題にならなかった記憶はありますが、それでも全体的にはとても豪華だと思います。華やかで画面には映えますが、脇役も全部含めて言えばそれぞれの魅力を生かすには尺が足りなかったような気もします。ただこの贅沢さは映画ならでは、だと思えばそう大きな問題ではないのかもしれません。主人公の金田一耕助は石坂浩二、等々力署長は加藤武、そして那須神社の神官の大滝秀治が30年前そのままと言うのが一つの「売り」でしたが、一通り観てみると役柄こそ違いますが、草笛光子(前は梅子)と三條美紀(前は竹子)も出ていて、役者の面ではにやりとさせられます。ただし、ヒロインは少々問題があると思いまして、珠世の役柄に松嶋菜々子は合わないなあ、と公開前から思っていましたがその通りでした。なにしろ「でかい」。でかすぎて他の役者と絡みづらい感じがするのは兎も角、でかすぎて可憐さがないのはかなりの問題だったと思います。
ともあれ二時間以上も普通に楽しめたので悪くない作品でして、旧版と見比べれば更に面白さが増すと思います。
