西村京太郎「夜行列車殺人事件」 光文社(文庫/光文社文庫)

ミリオンセラーシリーズの第4弾。国鉄総裁宛に届いた「夜行列車」の爆破予告に動き出す十津川警部。一方、鳥取に出かけた筈の青年の死体が青森で見つかった。彼のアラームが爆破予告と同じ「午前三時」になって居た事から十津川警部らは二つの事件の関連を疑うが…と言う話。
予告だけで警察が本格的に動くのか?とかアラームが午後三時だからと言って結びつけるのは些か短絡的では?と思わなくもないけれど、どの「夜行列車」が爆破されるのか分からないと言う焦燥感がサスペンスとしては悪くない。ただ犯人は存在感はあるけれど、深みはなく、最後の最後まで登場しない…逮捕される所だけ…ので、多くを描き出すのは難しかったのかもしれないが惜しい。
幾つか気になる所はあるけれど、犯人探しの他、「御約束」の時刻表トリックも盛り込み、色々仕掛けてあるので再読でもなかなか楽しめた作品であった。