【感想メモ】 笹本祐一「ARIEL番外編1 侵略会社の新戦艦」 朝日ソノラマ(文庫/ソノラマ文庫/ISBN4-257-77054-6)

2004年に全20巻52話にて完結した「ARIEL」。地球人類と宇宙人のファーストコンタクトから様々な事件を経て無事に終了した作品ですが、「敵役」である宇宙人サイドの代表者で色々な家庭事情(特に姉と妹)を抱えて中間管理職の悲哀溢れる美形艦長、タレ目のタカことアバルト・ハウザーとその関係者の「その後」を補完する「番外編」です。「ARIEL」の宇宙人サイドは…作品自体が後半において全体的にそういう傾向がありますが…やや女性上位が目に付きすぎて、ハウザーとその対抗者となるべき父がハウザー家の姉妹に比べやや卑小化された感じがあり、それがエンターテインメントとしてはやや今日を削ぐところがありましたが、逆に言えば妙にアクの強い姉たちの掌の中ながら、艦長としての能力を発揮するアバルト・ハウザーの姿を含め、いまだ姿を表さないハウザー家の「母」などまだまだ面白そうな題材が転がっていると思われます。「ARIEL」本編はそのあたりをカバーせずに完結してしまったので、「番外編」で補完してくれるのはファンの一人として嬉しい限り。今回はまずオルクスにかわる戦艦を入手するところから始まる騒動で、ハウザーの長姉、ダイアナの画策が露骨ですが、アバルトの「里帰り」に先立つ騒動は肩の力を抜いて気楽に読めました。この調子で、出来れば短い間隔で続きが出ることを望みます。