笹本祐一「小娘オーバードライブ」2巻 朝日ソノラマ(新書/ソノラマノベルズ)

「誰も知らない戦争」を中心とした第二巻。1巻は割と好きなエピソードが多くて、最初に出た時も楽しく読んだのですが、この「誰も知らない戦争」は何か趣味に合わないのか読みづらかった記憶がありました。今回改めて読んでみると割りと面白いというか、前のが分冊されてて間があいてしまったせいでヘンなバイアスかかったせいかな、と思いました。この作品は普通の女子高生が「正義の味方」になってしまう騒動を描くものですが、このエピソードではアクの強いキャラクターたちが活躍しまくるので「普通の女子高生」である美帆の影が薄くなり、最後の最後でいいところは持っていくものの、やはり唐突感が否めないというのが弱点なのかな、と思います。普通を普通として描く…実際のところ、美帆は非凡な才能がある、という伏線はあるのですが…のはプロの作家の力量をもってしても難しいのだな、と感じました。