ポワロ、クイーン、メグレ、そして明智。世界の名探偵が集められた理由は三億円事件解決のため。富豪の奇妙な提案にのった彼らの前に新たな事件が…という今から30年程前に出版された作品の新装版です。西村京太郎といえばトラベルミステリーの大御所ですが、昔の作品では色々な試みをしていたりもしておりました。「殺しの双曲線」などその顕著な例の一つだと思いますが、この「名探偵」シリーズもその中の一つ。ポワロ、クイーン、メグレ、明智という人選も悪くないですが、ここで「三億円事件」を持ってくるのも面白い。実際の所、名探偵それぞれの性格描写に違和感を覚えなくもないですが、小ネタも含めて展開も面白いと私は思います。あとがきなどで「売れなかった」そうですが、新版が出るからには評価も変わってきたということなのでしょうか。久しぶりに読み直したいので続きの出版も期待します。