【感想メモ】 田中芳樹「薬師寺涼子の怪奇事件簿 夜光曲」 祥伝社(新書/ノン・ノベル/ISBN4-396-20793-X)

講談社に端を発し、光文社に続いて祥伝社に登場したお涼サマシリーズの最新刊。今回は東京の庭園に現れた人食い蛍の事件を契機に首都圏を襲う怪奇事件をいつものメンバーが追うというか荒らすというかのいつもの話。作者は最近プロデュースというか原作提供ばかりで自身で書いてるのは中国の翻案を除けば、創竜伝とこのシリーズだけとなっています。前者は政治や国際情勢の戯画があまりに露骨すぎて閉口しますが、このシリーズはそれがいい程度に抑えられてるので読みやすいです。人間関係が進んでるのだかそうでないのかだんだん泉田くんが「わざと」やってんじゃないかと思ったりもしますが、普通に楽しめるシリーズものというのは結構貴重です。今回はいつもの面々よりちょっとキレた千葉県警本部長が面白かったです。