【感想メモ】劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者

2003年10月から一年かけて放送されたTV版「鋼の錬金術師」の最終回を受けた続編にあたる劇場版です。そういう意味で原作コミックではなくTV版を観てないとさっぱり分からないと思います。
以下一応ネタバレ防止対策。

TV版の最終回でエドが飛ばされた「扉の向こう」は1920年代のドイツ、そして二年の時が流れた所から話が始まります。舞台となるミュンヘンにて実際に起こったミュンヘン一揆に「あちらの世界」のキャラクターを絡めているわけですが、ハウスホーファーやヘス、フリッツ・ラングなど実在した人物が登場している中、エッカルト(エッカートだったかな?)が女性であったりするので「あちらの世界」の言う所の「扉の向こう」は我々の世界とはまた異なる世界なのか、など勘ぐることが出来るポイントもあり、その面ではいろいろと考えることができます。ただ戦後のドイツの不況・市民の不満・人種的偏見など、かなりネガティブな部分の描写がなされ、正直暗さに辟易するところがあります。ここまでの描写が本当に必要だったのか。
もっとも、この映画を観る人はそういう社会的問題がみたいのではなく、エドやアル、そして「おなじみ」のキャラクターの「その後」が見たいわけで、特に「扉の向こう」に飛ばされたエドと「あちらの世界」の人々との再会がお目当てでしょう。そういう意味ではそれぞれの「活動」や「復活」、そして「再会」といったドラマは必要なだけ用意されています。ただ「必要」ではあっても「十分」ではないというか、盛り上げ方が少々不足かもしれません。時間的な制約もあり、全てのキャラクターに「見せ場」を用意できないとはいえ、少々散漫というかちぐはぐなところもありました。特に「ウィンリィ立場ねえ!」というのを言っておきたいです。よく考えるとTV版でも正ヒロインの割りに扱い悪かったからなあ…。
結末には賛否あると思いますが「懐かしいキャラクターたちの同窓会」あるいは「離れ離れになった兄弟の行く末」を観るという目的なら「十分」とは思います。個人的にはもう少し「あちらの世界」との「つながり」というか「絆」があってもよかったと思いますが… とりあえず「シナリオブック」買ったのでそれを読んでみることにします。